個人開発で活躍する6人のメジャーリーガー

「好きなことで生きていく。」このフレーズをエンジニアの世界で置き換えるなら、個人開発という生き方はピッタリかもしれません。どこかの会社に所属するわけでもなく、他の会社から受注してサービス作るわけでもなく、ただ好きな時に、好きな場所で、自分のサービスで生活していくことができる、最高じゃないですか!

まだまだニッチな世界ではありますが、これから先、個人開発はどんどんメジャーになっていくでしょう。海外のインターネットを見ていれば分かります。一般の人たちが日常的に利用するツールや、見にいくサイトは会社によって運営されるものであるべきだった、しかし、今ではサイトのフッターに、個人が作ったというプロフィールとTwitterのアカウントリンクが載せられています。

もっと、日本でもこの個人開発という領域を広げていきたい、という想いもあって、筆者は個人開発のコミュニティ「開発会議」、そのプロダクトを売買できる「個人開発のフリマ」を作ってみたりもしました。Twitterを眺めていると、多くの個人開発者の方々がサービスを試行錯誤し、目標に向かって邁進しています。

今回は、そんな個人開発の話をします。まず、個人開発の定義は、一人、あるいは少数のチームが利益を得るためのプロジェクトに従事しているけど、スタートアップのように資金調達をしたり、採用をしていない状態を指します。個人開発で利益の創出に成功していて専業でおこなっている方もいれば、休日だけ、仕事が終わってからの時間だけに集中するサイドプロジェクトでやってる人もいる、さまざまです。

エンジニアとして生まれたなら、一度は挑戦してみても良いと思います。アイデアは発想するところから、デザイン、フロントエンド、バックエンド、運用を淡々と行ない、リリースしたらマーケティングや、営業まで考えることが盛りだくさん。これらを効率良くこなしていくためのセルフマネジメントもやらなくてはいけないし、エッセンスが詰まっています!

前置きは長くなりましたが、さっそく本題に入っていきましょう。個人開発のメジャーリーグはやはり、世界、英語でのプロダクトとなります。多くの個人開発者たちが参考にしているメジャーリーガーたちを紹介していきたいなと思います。

個人開発のメジャーリーグ

ズバリ、Product Huntですね。他にもIndie Hackersや、Makerlogのような開発者たちが集まっているコミュニティはありますが、オーディエンスや、選手の数を考慮しても、メジャーリーグはProduct Hunt以外考えられません。

Product Huntは、2013年11月にRyan Hooverが始めたプロダクト好きによる、最新プロダクトを寄せ集めたサイトでした。ちなみに、最初はRyanがプロダクトをキュレーションして送るメルマガで、Y Combinatorからも出資を受けました。彼はソロファウンダーで、技術者でもないので、まさにプロダクトの可能性を買われたことになります。その後、サービスは順調に進んでいき、2016年にはAngel Listに売却が決まりました。

サイトでできることは、本当にたくさんあるのですが、メインはHunterと呼ばれる、プロダクトを探す人が、面白そうなプロダクトを紹介する機能です。プロダクトを作った人はMakerとしてサイトに登録されます。Hunterと、Makerは同じ人でもOKです。

面白いのが、その日提出されたプロダクトたちを競り合って、その日一番人気になったプロダクトを決めるというルールです。人気はサイトを訪れた人たちがUpvote(投票)することで、民主的に選ばれます。上位になると、Product Hunt of Dayなど勲章がもらえます。

更に、Golden Kitty Awardという、その一年を通して、MVPと呼べるプロダクトや、Maker、Hunterを決定する受賞イベントも行われています。Product Huntの魅力は、こうして、モノづくりを純粋に皆んなで楽しんでいこうというイベント性にあります。他の領域で見ても、こういうサイトづくりに成功してるものはProduct Huntの他にないと思います!

Product Huntに登場するプロダクトは個人開発によるものだけではありませんが、必然的に開発者にスポットが当てられ、Product Huntで活躍している開発者は、すごい人なんだと注目を集めていくことになります。

なので、個人開発のメジャーリーグといえば、Product Hunt以外ありえないでしょう!

開発者が憧れるメジャーリーガー

まず、大前提としてメジャーリーガーだからといって、必ずしも技術力に優れているというわけではありません。同義として言えるのは、いくら技術力で優れているからといって、個人開発の領域で勝っているとは限りません。

前述したように、個人開発にはビジネスのエッセンスが詰まっています。すごい開発をするよりも、素早く、分かりやすく開発できるスキルの方が求められています。ユーザーと向き合い、新しい機能を思考できる力も求められています。

ここでは、Product HuntやIndie Hackersを筆者が迂回していくなかで、この人たち平均的によく見かける人たちをチョイスする一方で、どうしてこの人がメジャーリーガーと呼べるのかの理由も合わせて紹介していきます!

Pieter Levels

元々ミュージシャン

個人開発者といえば、で真っ先に連想される人物。そして、とてつもなくクレイジーです。Nomad ListRemote OKなど、ノマドやリモートワーク向けのサービスを作り続けています。彼の収入は、すべてオープンにされており、ここで確認できます。年商で3,000万円ちょっとで、ビジネスモデル的にほぼ利益と考えられるでしょう。

ミュージシャンとして12の音楽チャンネルをYoutubeで展開していたPieterは、その管理に手を焼いていました。これを解決するためにTubelysticという分析ツールを作り始めたのが、最初の開発でした。そのツールは失敗しました。

12ヶ月12スタートアップの挑戦

Tubelysticに1年もの月日を費やしてしまったことを後悔し、12ヶ月に12ビジネスを立ち上げるプロジェクトを始めます。その一つで、Go Fucking Do Itで初めて売上を出すことに成功します。これは、ユーザーの目標にお金を賭けて、達成できなかったら没収され、成功したら没収されないというモチベーションをデザインしたサービスでした。これで、月数百ドルの稼ぎに成功し、その勢いでNomad Listや、Remote OKを作り、自分のプロダクトだけで十分な稼ぎを生み出しています。Product HuntのThe Maker of Yearにも選ばれています。個人開発者向けのMakeという、書籍も出版しています!

Mubashar Iqbal

プロダクトめっちゃ作る

Pieter Levelsと比較されることもあるのですが、多作家で有名です。また人柄も温厚で、自分のことを「Mubs」と呼んでと、どこかAppleのSteve Wozniakを思い起こさせます。サイトを見ると83のプロジェクトを閲覧でき、有名なプロダクトだと、Chat BotのマーケットプレイスBot Listなどがります。20年間に渡り、ITの会社でエンジニアをしながら、サイドプロジェクトをしてきたそうです。本人曰く、CEOのような役職に興味がなく、個人開発の形態が最も自分に合っているんだとか。

Ben Tossel

No Codeの伝道師

元Product Huntのリードを務め、Angel Listへの売却にも貢献した一人。彼が最も力を入れているプロダクトは、MakerPadと呼ばれる、コーディングなしでプロダクトが作れるレシピ共有サイトです。No Codeは、世界のモノづくり界隈において、大きなムーブメントとなっており、今や非開発者でも何でも作れる時代が到来しています。いち早く、その変化に気づいていたBenはサイトを立ち上げ、現在月200万円の利益を稼いでいるらしい。

aj

謎に包まれる開発者

ajはアノニマスで、彼の個人情報はテネシー州のナッシュベルに住んでいるくらいしか分かっていません。美しくシンプルなWebサイトを瞬時に作れる、Carrdは、Product Hunt史上最高クラスである4,000票以上をも獲得しました。Carrdで稼いでいる額は、月に300万円以上だそうです。

Radolphe Dutel

リモート開発を促進

Radolpheは個人開発者以前に、GoogleやBufferといった、先進的なIT企業でキャリアを積んでいます。特にBufferは全員がリモートワークで働く会社で、このときの経験を生かしてか、リモートワークのためのジョブサーチや、コミュニティを作るRemotiveを作っています。まだメディアで取り上げられるケースは少ないですが、Twitterでの発言も伸びやすく、今後注目されていくでしょう。

Andrey Azimov

個人開発のルーキー

Golden Kitty Award 2018で、Maker of The Yearに選ばれた今、世界で最も注目を集める個人開発者かもしれません。彼の魅力は、今まで紹介してきた個人開発者と別の部分にあります。プロダクトだけでなく、彼はプロダクトをどんなストーリーで作って、どんな顛末があったのかを事細かく、Twitterブログで発信しています。これによって、Andreyの人生そのものに興味が湧いてくるのです!

罵倒されながら、失敗しながら

ブログを呼んでいると、出すプロダクトに対しての不満や罵倒を直に受けています。これを上手くストーリーに変えて、周りを楽しませ、巻き込んでいきます。Andreyについては、ジャバザハットリさんが、彼を好きになるような魅力をサマライズしてるので読んでみてください。代表的なプロダクトは、Google スプレッドシートからWebサービスを作れるSheet 2 Siteなどです。

個人開発の哲学

個人開発に向き合う姿勢や考え方は、人それぞれです。しかし、個人開発の本場で勝負していくには共通した哲学のようなものがある気がしています。

課金

個人開発を始めて、あるいはスタートアップの場合もそうですが、「後からマネタイズする」という謎のステップが浸透していますが、先ほど紹介した個人開発者たちは、サービスをリリースしたその日から課金を狙います。

個人開発をやる上で、一番始めのハードルがサービスをリリースすることであれば、二つめのハードルは課金です。そして、課金することで、サービスへの責任が重くなり、多くの開発者が避けがちです。しかし、課金と向き合わなければ自分の生活費を稼げません。課金することは正義であり、お金を生み出すことによって、初めて価値を生んでいるという文化が個人開発にあります。

ニッチすぎる市場

Nomad Listは大企業が絶対にやらないビジネスです。ノマドの市場は、会社がスケールを狙うにはニッチすぎる市場で、大金は稼げません。しかし、一人が生活していく分は稼ぐことができる市場です。個人開発でしか解決できないニッチな市場を見つけて、これに取り組むのはプロダクト選定の基準になるかもしれません。

質より量

個人開発の理念は、信念あるものを作るのではなく、売れるものを作ることです。アイデアや、技術、全ては手段に過ぎず、売れるものを作るためには、たくさんプロダクトを作り続けて、失敗から学習しながら進めるのがセオリーです。Pieterのように、一ヶ月に一プロダクトとゴールを決め、とにかく数作ることを意識しましょう。

メジャーリーグを目指すためには

日本の人口は1.3億人ですが、世界は70億人。プロダクトの成功は、世界でやれば70倍の大きさに跳ね上がるわけです。これなら、世界で挑戦してみたいと思う人もいるはず。日本は、野球でいうならば、甲子園なのかもしれません。ただ、野球と違うのは、日本で活躍してからメジャーリーグを目指す必要はなく、いきなりメジャーリーグでもOKなのです。

では、メジャーリーグを目指すには何が必要なのでしょうか。

英語力

Product Huntに日本語で投稿しても、相手にしてくれないでしょう。(練習として開発会議に投稿してくれるのは大歓迎です!)となると、サービスや、サービスを紹介する文章は英語で行なう必要性があります。ただし、ここで求められる英語力はネイティブや、ビジネスクラスに使えるものでなくても良いです。伝われば良いと思います。

世界にフィットするカルチャー

英語力よりも大事だと思うのは、世界でやっていく上での独特なカルチャーを知ることです。これは日本にいて、日本語のサイトを眺めていても、なかなか掴むことはできません。日々、慣れていくことが大事です。前述して紹介したProduct HuntやIndie Hackersを毎日見て、そして投稿していく癖をつけてくのが良いです!

East Hackers

そして、個人開発という競技は、文字通り個人競技ではあるのですが。日本代表もオリンピックに出るときはチーム固まってベンチで、応援し合うじゃないですか?そのベースキャンプこそが、East Hackersなんですね。

East Hackersでは、北米を中心に世界中のユーザーに愛されるプロダクトを作るために、起業家や個人開発者たちが集まって、情報交換をしています!まだ、出来たばかりで小さなチームではありますが、これから、メジャーリーグに本腰を入れて、勝負に出かけられるような日本代表チームを作っていきたいと思います!

日本の個人開発を、世界のプロダクト開発における日本のプレゼンスを一緒に盛り上げていける人たちと出会っていきたいですね。