7人のシリアルアントレプレナー。起業を何度でもやる人たち

世の中には、シリアルアントレプレナーと呼ばれる人たちがいます。シリアル(Serial)は、連続を意味し、繰り返し起業を手がける人たちのことを指します。起業家の中には、一生涯これをやり通すプロダクトに出会い、命をかける人たちもいますが、シリアルな彼らは起業というスタイルを生き方として、何度でもゼロから世の中をより良くするプロダクトを生み出していきます。

99%が辛く、99%生き残れないとされる起業を一度でなく、何度でも取り組み世の中に素晴らしい影響を与える、シリアルアントレプレナー。シリコンバレーで主流となるこの生き方をしている代表的な7人のシリアルアントレプレナーを紹介していきます。

7人のシリアルアントレプレナー

Evan Williams

1972年、ネブラスカ州で生まれ育ったEvanは大学まで、その土地で暮らします。大学に入学してから1年半後に中退し、テキサス州のダラスに渡りベンチャー企業のエンジニアとして経験を積み始めます。その後、ティムオライリーが創業した「オライリーメディア」にも転職。

やがて、プロジェクト管理ソフトウェアを提供する「Pyra Labs」をMeg Hourihanらと共に創業。このソフトウェアは、ノートテイキングが主な機能となって、ゆくゆく機能だけが独立し「Blogger」が誕生します。当時、ブロガーという言葉は存在せず、まさにEvanが提唱したプロダクトは辞書に載る言葉を作ったともいえます。2003年に、Googleが買収します。

Google時代に、Evanの熱烈的なファンだったBiz Stoneと共に、ポッドキャストのプラットフォームOdeoを開始。iTunesが競合にあたり、業績が伸び悩んでいた時に、会社のサイドプロジェクトととして、Jack Dorseyらが始めていた140文字のブログサービスTwitterに全社的に注力することを決定。2010年までにユニークユーザーを1億人まで増やし、上場を待たずしてCEOの座を降りています。2012年には、ブログサービスMediumを立ち上げます。

インターネットユーザーのために発信できる場を作り続けてきたのが、彼の歴史です。Mediumを作っている最中にも、彼は常に発信における課題意識を唱えていて、かつ人々が中毒性を持てる正しいサービスの作り方をやってのけています。

Elon Musk

アイアンマンのモデルとなったといわれる、伝説の起業家。まず、彼はアメリカ人ではありません。南アフリカで生まれ、10歳の頃からコンピュータを習い、プログラミングを始めています。1999年に、世界最大のオンライン決済サービスPaypalの前身となるX.comを創業します。1年後には、当時共同であったPeter Thiel率いるコンフィニティ社と合併し、2002年にはeBayが買収しました。その後、宇宙関連事業であるSpace X、電気自動車を生産するTeslaに投資をはじめ、太陽光発電会社のSolar Cityを5年ほどの間に行なっています。

Twitterでは何かと爆弾発言で話題になっているElonですが、最初のサービスから考えている規模が桁違いですね。世界を変えるという言葉は、Elonにこそ相応しいんだなとつくづく感じてしまいます。Paypalは優秀な人材を輩出したことでも有名で、初期メンバーの創業から、LinkedIn、Youtube、Yelpなどが生まれています。

Garret Camp

最初の起業は2002年に始まります。Garretは仲間とともに、Stumble Uponを立ち上げます。このサービスは、登録したユーザーの趣味趣向によって、パーソナライズ化した記事をおすすめしてくれるというもの。右上に「Upon」ボタンがあって、これを押すとランダムな記事に移動します。5年の経営の末、80億円でeBayに売却。

次の起業は、Uberです。2009年に、ニューヨークでTravisとタクシーがなかなか捕まえられずに困った経験から個人間による配車サービスを思いつきます。ボタンを押したら、車がくるというデザインは007からヒントを得たとありますが、どことなくStumbleUponのUXにも似てる気がしますね。

2013年に、彼はスタートアップスタジオExpaを立ち上げます。これはVCとスタートアップの中間で、Garret率いるExpaが株式の50%を持ち、外部の起業家と一緒に事業を立ち上げるというものです。有名なサービスだと、Reserve、Operator、Metabaseがあります。

Kevin Rose

Kevin Roseの最初のキャリアは、起業家ではなく、TV Hostでこの時、Slash Dotの創業者を招いた際にDiggのアイデアを閃き、資本主義的にニュースを取り上げるDiggを創業します。当時、Facebook、Twitterと並ぶソーシャルサービスとして時代を築き、Googleから2200億円の買収オファーもありました。

その後、当時まだ珍しいビデオメディアとしてRevision3を開始。DIY、エンタメ、テクノロジーのジャンルにて、自らがホストとなって人気なメディアへ。2012年にDiscovery Communicationが全株取得を発表します。次は、マイクロブログ、TwitterのようなサービスとしてPownceを作りますが、1年以内にSix Apartが買収します。更に、2011年にはMilkを創業。当初はC向けのスマホアプリを出していたが、途中でクローズ。クローズしたタイミングでGoogleが買収。サービスというより、Kevin Roseという人材を買うための買収で、その後、Google VenturesのGeneral Partnerを勤めています。

とにかく何個も何個もサービスを出していて、かつ運用して売却するまでの時期が被っているのがKevin Roseの起業スタイルです。彼が、シリコンバレーの著名な起業家にインタビューするFoundationというYoutubeチャンネルは非常に面白くおすすめです。

Rus Yusupov

Rusは世間を沸かせる天才です。2012年の6月に、6秒動画のVineを起業し、瞬く間にショート動画の火付け役となります。その影響力に目をつけた、Twitterがリリースから4ヶ月後の2012年10月になんと33億円で買収します。その後、Twitterのレイオフにより解雇となったRusは再び新しいサービスづくりに向かいます。

次に彼が手がけたのが2017年あたりからヒットし始めたライブQAアプリHQ Tariviaです。このサービスが登場してから、次々とコピーサービスが世界に広がっていくのを目の当たりにしたのも記憶に新しいです。

そうして、to Cのエンタメ的なサービスを立ち上げるのが上手なRusですが、経営的にあんまりいい噂を聞きません。HQ Triviaを一緒にやってきたMCのScottを解雇すると脅したり、給料を薄給にしたりと問題をよく耳にします。また、一方で、彼とずっと一緒に様々なサービス立ち上げを共にしていたCollin Krollが昨年、ヘロインの摂取過剰で亡くなったりと、苦難を乗り越えながら事業に取り組んでいる面もあります。

Stewart Butterfield

1973年に、カナダの小さな村で生まれたStewartは、大学までをカナダのビクトリアで長く過ごします。その後、スタートアップでのキャリアを経て、2002年にCaterina Fakeや、Jason Classonと共にLudicorpを作ります。これは、多人数参加型のRPGですが、全然うまくいきません。その後、会社のサイドプロジェクトとして始めていたFlickrが急に伸び始め、2005年にはYahoo!に売却されることになります。ちなみに、StewartはCatherineと結婚しています。

今度こそゲームで成功しようと意気込んで始まったTiny Speckでしたが、やはりこちらもなかなかゲームの中ではうまくいかず、また社内システムとして手がけていたSlackを招待制で外部の会社に使ってもらい始めたところ、急成長し、先日上場に至りました。

ゲームで成功を目指しながらも、サイドプロジェクト的に始めている方がうまくいく。今度こそ、ゲーム業界で成功するプロダクトをぜひ作って欲しいですね。

Sean Parker

インターネットの世界で、連続起業家という言葉を生んだのは彼といっても間違いではありません。Sean Parkerは、映画ソーシャルネットワークでもお馴染みのFacebook 初代CEOです。まず、彼が世界に名前を轟かせたのは19歳の時で、音楽ファイルP2Pの共有サービスNapsterです。無料でユーザーが音楽を交換できる画期的なサービスであることから、若者を中心に爆発的な人気を誇りますが、著作権侵害であるとして2001年に倒産します。

その後、友達同士の連絡先を共有し合うPlaxoを立ち上げます。これも順調にサービスがうまくいくものの、途中で株主との権力闘争に巻き込まれ、最終的に会社を追い出されてしまうことになります。

それからは映画の通り、Facebookに目をつけた彼はMar Zuckerburgにコンタクトを取り、Facebookを学生同士の遊び半分のネットワークサービスから、世界的大企業へと変貌させていくことを実現します。ですが、途中で麻薬保持疑惑がかかり、逮捕されます。

出所後は、Napsterの片鱗も持ち合わせるSpotifyに目をつけ、積極的な投資を行ないました。今でも、投資と起業を掛け合わせたような活動でインターネット業界の有力者となっています。

起業を何度でもやる

起業というと、FacebookのMark Zuckerburgや、AppleのSteve Jobsのようにプロダクトが起業家の代名詞となっているケースが多いかもしれません。ですが、結構、シリコンバレーでは何度でもゼロイチに挑戦するようなシリアルのケースは一般的で、起業でなくても、投資という形で起業家が次の挑戦に関わっていることはよくあります。

こうして成功確率の低いとされてる起業の中で、何度でも成功できるケースがある。これって、要するに成功パターンがあって、起業って科学できるもなんじゃないかなと思えたりもします。学んですぐできるものではなくても、きっと再現性のある何かではあると信じられますね。