総額500億超!Snapを買収企業16社から紐解いてみる

LAのカメラ会社「Snap」。カメラ会社と呼ぶと、違和感を覚える人も多いかもしれません。Snapといえば、送ったメッセージが開くと消えるチャット、Snapchatのイメージが定着していて、カメラよりもメッセージって感じです

「Snap Inc. はカメラ会社です。当社は、カメラを改革していくことにより、私たちの生活やコミュニケーションの方法を、更に素晴らしいものにできると考えています。」と、公式サイトには記載があり、これから紹介していく買収の歴史をながめていくと、Snapは紛れもなくカメラ会社なのです。

少しだけ、Snapについて説明していきたいと思います。2011年、スタンフォード大の学生だった若者3人がイタズラのように始めた、消えるメッセージングアプリがありました。当時は、picaboo(いないいないばー)というアプリ名で、ティーンズを中心に瞬く間に火がつき、友達同士で続けていけない規模になっていきました。やがて、彼らはSnapchatとリニューアルし、スタートアップシーンを王道的に駆け上がっていきます。

とはいえ、IPOするとは誰も思っていませんでした。結論的に、Snapはユニコーンとして数えられた中で、一番最初にIPOしました。2017年のことで、創業から約5年でした。それまでに、買収提案はたくさんありました。Facebookや、Googleは3,000億円以上で買おうとし、Snapの関係者も売却に賛成しましたが、創業者たちは売ることを拒みました。

創業者のEvan Spiegel氏は、現在29歳。ゴシップの世界では、Miranda Kerrの再婚相手としても有名です。かつて、Tayler Swiftと付き合っていた過去もあり、羨ましすぎる遍歴と、作っているアプリの性質上、どうしてもミーハーなイメージがつきまとうのですが、Evanは芯の強い人間で、スマートです。目の前の大金を蹴り、リスクを取っても欲しい未来を掴みにいく姿勢は見習うところがあります。彼については、スタンフォード大での卒業スピーチを聞いてみると好きになると思います!

買収を拒んだSnapですが、これまで16社のスタートアップを買収しています。その買収タイプは、あくまでメインアプリのユーザーを増やしたり、連携を図ったりするにとどまらず、カメラ会社として挑戦しているのがよく理解できるものとなっています。年代別にどんな企業を買収してきたのかを見ていきたいと思います。

Snapが買収した企業たち

Scan(2014年12月/約50億円)

Snapが公的に、初めて買収をしたとされる案件。QRコードをスキャンすることで、友達の連絡先や個人情報をスマホで受け取れます。友だち追加でスキャンで行なう機能です。QRコード自体はオフラインの小売にも活用が見込まれ、中国に行ったことがある方はWeChatでQR決済をしている光景を見たこともあるかと思います。

Vergence Labs(2014年12月/約15億円)

スマートグラスの先駆けとなり、2011年に創業されている。同市場で一番の競合ともいえる、Google Glassよりもワンテンポ早いマーケットインを果たしています。当時のプロダクトを見てみると、2017年にSnapがリリースした「Spectacles」に似ています。創業から3年のスタートアップが15億円以上の買収、それにアプリとは別ジャンルであったことを考えると、この頃からカメラ会社としての立ち位置を狙っていたことが分かりますね。

Addlive(2014年12月/約30億円)

WebRTCのAPIを開発していた会社。今でこそ、ライブ配信やリアルタイムコミュニケーションも一般化されていますが、この技術はWebRTCあってこそ実現したもので、コミュニケーションがチャットの次に行くためには必要不可欠でした。買収後、Snapchatにライブ配信機能が搭載されました。

Looksery(2015年9月/約150億円)

Lookseryは、自撮り写真にアニメーションを加える機能を開発していました。Snapchatの代表的な機能となっていますが、レンズを選択すると自分の顔を認識して、顔を変更させることができるやつです。こちらも、すぐにSnapchatの新機能として追加されましたね。

BitStripe(2016年/約100億円)

ユーザーに似たアバターを気軽に作成できて、さまざまなリアクションをしたスタンプを送信できる「Bitmoji」を提供している会社。ちなみに、このブログやTwitterのアイコンとして使用しているのもBitmojiで使用されているものです!

Obvious Engineering(2016年)

3Dモデリング技術を開発している会社。撮影した被写体を3Dでスキャンし、アニメーション処理を施すことができます。この素材を使って、バーチャルな世界と現実世界を一緒にしたようなコンテンツを作成して楽しめます!

Vurb(2016年8月/約115億円)

ローカルアクティビティアプリ。SnapはこのVurbの買収から、本格的に位置情報を用いたコミュニケーションの市場に参画していくことになります。Vurbは、ユーザーが興味のあるトピックをいくつか選択し、自分の予定を決めることができます!

Flite(2016年12月)

動画に特化した広告プラットフォーム。同社は広告の制作から、広告がどれだけ効果があったかを推し量る分析ツールまでを作成して、acqhire(採用を目的とした買収)であったともされている。

Cimagine Media(2016年12月/約30億円)

ARスタートアップ。Cimagineを使用することで、購入してみたい商品などを自分の好きな場所にセットアップしたイメージを作ることができます。具体的には、家具や家電を撮影して自分の部屋にセットしてどんな感じかをイメージできます。今後、カメラのAR上で商品を購入できる機能が実装されるかもしれません。

Mobli(2017年4月/約8億円)

SnapがIPOしたのは2017年3月なので、上場後初の買収になります。Mobliは、Instagramの競合として2011年にスタートした位置情報のフィルターを使った写真SNS。

Drop(2017年6月)

友だちと位置情報を共有し、一定距離間に入るとアラートを通知してくれるアプリ。ユーザーはその他にマップ上にコメントをしたり、写真投稿ができます。

Ctrl Me Robotics(2017年5月)

Ctrl Me Roboticsは2013年にスタートした小さなドローン会社でした。この買収からもSnapがカメラ会社として、ハードウェア部分に力を入れてることが伺えます。Vergence Labsの時と同様に、人材ごと採用してSnap仕様のドローンを開発してくことが目的であるように感じますね。

Placed(2017年6月/約135億円)

オフライン店舗の広告管理ツールを展開している。ユーザーが写真を撮影した位置情報を測定し、どれくらい広告として機能しているのかを分析できます。オフラインによる広告の促進を試みていたことが伺えますが、ちょうど2019年6月にSnapはFoursquareにPlacedを売却しました。

Zenly(2017年6月/約215億円)

友だちと位置情報を共有して楽しむアプリ。女子高生たちの間でも話題になっていて、いつどんな時でも共有を許可している友だちがどこにいるのか分かり、それに沿ったコミュニケーションが可能となっています。おそらく、Snap買収履歴の中でも最高額での買収となります!

Strong.codes(2017年7月)

アプリのソースコード解読を防止するセキュリティサービス。ここにきて異色の買収かと思うかもしれませんが、これまでSnapはFacebookからストーリー機能はじめ、機能をコピーされるのに苦しめられてきました。今後、オリジナル機能を出しても簡単にコピーされないのを目的に買収を実施しました。

Metamarks(2017年11月/約43億円)

広告分析プラットフォーム。データを基準にした分析ツールを展開してるのですが、これに加え、なぜデータが上下したのかを解析する技術を搭載しています。広告を収益モデルというサービスとして精度を上げていきます。

PlayCanvas(2018年5月)

3Dゲームの開発ツール。3Dコンテンツを製作するためのツールとして普及していましたが、今後はSnapのLens Studioにおける機能開発のために使用されていくことが見込まれます。開発者コミュニティにアクセスできることも買収理由の一つとされています。

Teleport(2018年12月/約8億円)

撮影した写真の背景を変更したり、被写体を編集できる開発者向けツール。ニュースによると、Teleportの買収は、更にカメラフィルターに力を入れていくための人材を買収したとも取れるとのことです。最近、SNSで話題になっていたSnapChatの独特なフィルターにも時期的に関与している可能性がありますね。

Snapはやはりカメラ会社

こうした買収の経緯を追っていくと、Snapはただのチャットアプリを開発している会社ではないと分かります。創業して、かなり早い段階から会社が進む道を決断し、カメラ技術を使って人々の生活を明るくしよう!とする姿勢が読み取れます。

そして、カメラを通してSnapが実現しようとしているのは、撮影だけではありません。撮影したコンテンツを広告として算出し、マネタイズを実現すること。また、撮影する行為もスマートフォンをかざす以上に、空撮やスマートグラスのような方法も提案しています。

現在、Snapの時価総額は2兆円!Facebookの55兆円に比較すると、まだGAFAの仲間入りを果たすまでには至っていませんが、プロダクトの世界では明らかにFacebookを上回る結果をを残しつつあります。

Snapの始まりから今日までを、Appleの歴史になぞらえる人もいます。カメラの世界から、未来を見透そうとする、同社を今後も一ユーザーとして楽しみにしていきたいと思います。